あ、そうだ書くの忘れていたけれど「A Screaming Man / 終わりなき叫び (2010)」を大きなスクリーンで見たくて劇場に行ったんですよ。たしか11月に。その時に同じ劇場でこの映画が後に公開される事を知ったんですが、どうしてもスケジュールが合わなくて断念。まあこの作品はもうその時にはアメリカでもDVD発売される事が分かっていたので、まあいいかと... でも見たいのは見たかった。だって、結構評判良かったので。
2003年にケニアは政府が変わり、小学校を無償化にすると発表。村の小学校には多くの母親や父親が登録の為に駆けつけた。50席しか用意出来ないのに200人もの子供が登録しにやってくる。先生達はてんてこ舞い。その中にポツんと現れたのが、84歳のマルゲじいさんだった。学校の責任者であるジェーンに「小学校に入れてくれ。字が読みたい」と話す。しかしジェーンは席もないし、制服や鉛筆を用意してもらわないとならないし、第一トラブルになるのでダメだと断ってしまう。しかしマルゲじいさんは、諦めずに自分で学校の制服を作り、学校へ幾度も向かう。その情熱にジェーンも折れた。まずは小学1年生からという事で、晴れて84歳の小学1年生が誕生するのです。これはギネスにも載った記録。しかし、村の人々はじいさんを馬鹿にしたり、嫌がらせをしたりして反発する。そこまでされたのに、じいさんは学校を辞めない。さらには学校を管理している政府系の人々も反発して、じいさんを辞めさせようとする。じいさんはそこでもくじけない。なぜにここまでしてじいさんが学校に行って字を読みたかったかというと... じいさんは若い頃にマウマウ団に入っていた。マウマウ団とは、反政府軍の軍団。その頃のケニアはまだイギリスの植民地であり、独立を求めていた軍団だった。じいさんにはとても悲しい暗い過去があるのです。その過去が徐々に映画では明らかになっていく。最後のシーンは涙無しには見られないですね。
まあ、このマルゲじいさんを演じたオリバー・リトンドが素晴らしい。黒人映画祭系では、主演男優賞にノミネートされたりしてます。しかし何歳か分かりませんが、あの年にして初の主演映画。魅力的なじいさんを演じてます。強さと優しさのあるじいさん。子供達の為に杖だけで、何十人という大人に1人で立ち向かうんですよ。カッコいいんです。いつも演技が下手だと私が馬鹿にしていたナオミ・ハリスは、今回は良い。下手さが気にならなかった。物語も分かりやすくて良いです。子供達も可愛い。
残念ながらこの映画の題材となった本物のマルゲじいさんは、2009年に亡くなっている。卒業はしてなかったようだけど、6年生まで学校に通う事が出来たらしい。この映画では描かれていない、その後も大変だったみたいですね。暴動では強盗にあったり、その後にはキャンプで生活したり、それで毎日4キロも歩いて学校に通ったりしたみたいですね。でも2005年には国連にて教育の大切さをサミットで訴えた。
ちなみにマウマウと言えば、スパイク・リーの「Bamboozled / 日本未公開 (2000)」。映画の中で、モス・デフ(なんで名前変えちゃったんだろ?)とかチャーリー・バルティモアが居た過激なラップグループが「マウ・マウズ」。彼等は暴力でもって、自分達の要求を行使していくのです。でもこの映画見ると、スパイクの映画の彼等は何か違うかな...って改めて思わされましたね。
(4.75点/5点満点中:1/9/12にDVDにて鑑賞)