非常に評判のいい映画ですね。色々な賞にも輝いているし、ロジャー・エバートも4点満点。南アフリカの作品で、南アフリカがオスカーの外国語部門に出展した作品。ショートリストまでは残ったけれど最終まで残れず、ノミネートはされなかった。
南アフリカの小さな町が舞台。そこでたくましく成長しているのが、12歳のチャンドラ。チャンドラの妹がインフルエンザで亡くなったばかり。母は悲しみに打ちひしがれているので、その代わりにチャンドラが葬式の手配などをしている。しかもまだ幼い他の妹と弟には亡くなった事を言うなと母に言われ、辛いけれどその通りにしている。実はチャンドラだけ妹や弟の父親と別の父親が存在している。だから1人だけ少し年も離れていた。しかし弟や妹の父親のジョナは最低な男で、チャンドラの母が溜めているお金を盗んで麻薬に溺れているし、娼婦みたいな女ともつるんでいる。まあそういう環境もあって、チャンドラは12歳だけど、他の子より少し大人。しかもチャンドラの一番の友達エスターは、両親が居ないので、トラックの運ちゃん相手に売春をしている。同じ12歳なのに。そして、ジョナはエイズになり、行方不明。そのエイズはチャンドラの母にも感染していて、チャンドラの母は弱まっていく。そんな病気は移ると思われていて、村八分になるわけです。
同じく南アフリカが2005年のオスカーの外国語部門に出展した「Yesterday / 日本未公開 (2004)」(こちらは最終まで行きノミネートされている)にも似ている。あの映画でもやっぱりエイズになった者は、村八分にされる。変な病気を村に入れ込んだと恨まれるのだ。「Yesterday」の主人公イエスタディは、仕方ないから村から離れ、夫と自分を自力で介抱していく。けどこの映画のチャンドラは負けない。12歳の子が前に向かう事で村の人たちの心を動かしていくのです。イエスタデイもチャンドラも別の方向に向かったけれど、2人ともに非常に前向き。そうするしか無かった、人として。
イエスタディもそうだったけど、女性は被害者となってしまう。チャンドラのお婆ちゃんがお母さんに対して、物凄く悪態をつく。「悔い改めよ」と。ジョナみたいな男に惚れた事が悔い。被害者かもしれないけれど、自分で自分を守るしかないという事。しかし、実際にはそれが凄く難しい。それは南アフリカだけじゃなくて、全世界そうだ。
ちなみにこの映画が初めての女優としての仕事だったのが、チャンドラを演じたコモツォ・マニャカ。彼女は初めてにして、タイム誌が選ぶ2011年の俳優トップ10の女優部門の3位に選ばれている。ちなみに1位がメリル・ストリープで、2位が「The Help / ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜 (2011)」の女優達、そして3位がこのコモツォ・マニャカ。錚々たるメンバーの中に入っている。
(4.75点/5点満点中:DVDにて鑑賞)