Taken from Me: The Tiffany Rubin Story / 日本未公開 (2011) (TV) 903本目
近年、国際結婚は各国で増え続けていたが、ここ数年日本では減少傾向にある。アメリカでは国際結婚というよりも、異人種結婚としての統計を取っているので、実際には国際結婚がどれだけかは分からないが、こちらは増えつつある。日本でも私が生まれた1970年代に比べると3倍の数に増加している。結婚が増えると残念ながら離婚も増える。この映画は結婚も離婚もしていないが、その狭間で起きた事件。
主人公はタラジ・P・ヘンソンが演じている。そう、あのオスカー女優。「Hustle & Flow / ハッスル&フロウ (2005)」とか最高でしたね。そのヘンソンが演じているのが、クイーンズに住む学校の先生をしているティファニーで、彼女にはコービーという男の子の子供が居る。結婚こそはしていなかったが、昔付き合っていた韓国人ジェフとの間に出来た子供だった。親権は半々。しかし、養う能力に欠けているジェフには、夏の間だけコービーへの面会が許されている。なので今回はディズニー・ワールドにコービーを連れていくという事で、ティファニーからの承諾を得た。ちなみにティファニーは、その後クリスという男性と結婚している。クリスもコービーを自分の子供のように可愛がっているのです。泊まると言っていたホテルに電話すると、なんとその名前では誰も泊まっていないという。悪い予感的中。すぐに警察に行っても、警察は帰ってくる日にちまで待ってみないと、何とも出来ないと。その日までは、父親と会う事を承諾しているので、警察としては何も手出し出来ないと跳ね返す。その日は渋々帰るんですね。しかーし、そんな事で黙っているのような母親は、まあ居ないよね。次の日にも警察に出かけて、運良く婦人警官がいるのです。「貴方もママでしょ?」と彼女に心情的に訴える。ママ同士に良く効くマジックワードを出されたので、婦人警官が調べる事を承諾すると、なんとコービーは韓国へ...
と、ここからハーグ条約が登場ですね。韓国はハーグ条約には加盟していない。ハーグ条約に加盟していたら、コービーを簡単に救出する事が出来る。ティファニーが警察等の関係役所に訴えたので、ジェフはアメリカに入国してしまえば捕まる可能性がある。でも韓国に行ってしまえば、大丈夫だ。しかしティファニーはジェフが韓国のどこに居るかも全く検討も付かない。国際的な探偵を雇えば大金がかかる。しかも見つかる保障もない。
と、書いてみれば、ジェフは相当悪い奴です。確かに計画的に無断で連れ去った。でもそうさせたのはジェフの父親としての愛情もあったからだと思う。相当な危ない橋を渡る事くらい、彼も覚悟していた筈。でも全く会えないコービーを独り占めしたくなった気持ちも私は理解出来る。しかもアメリカでは経済力は無いかもしれないけれど、母国に帰ってしまえば何とかなると思うその気持ちも痛い程分かる。アメリカの法で勝手に経済力がないと決め付けられて、夏の少しの間だけ面会出来るなんて決めつけられる。ジェフはそんなアメリカになんか未練がないでしょう。アメリカの法が平等でない事をつい最近も(一度じゃないって事ですよ)証明したばかりじゃないですか。
一番可哀想なのがコービー君ですよ。ママかパパを選べと言われても困ります。コービー君にとってはジェフがパパですから。とは言え、母親としてこのティファニーの気持ちはよく分かる。何が何でも取り返したいという気持ち。でも隋所にアメリカを完全に美化していて気持ち悪かったです。韓国でイジメに遭っていた描写がある。本当はアメリカに友達が居るので、アメリカならその問題が解決されたと思う。でも映画ではアメリカでの友達の描写がなかったから、アメリカを美化したように映った。何か描写の仕方がスッキリしないのです。でも非営利団体で行方不明になった子供達を捜しているマークさんは凄いですね。
(3.25点/5点満点中:DVDにて鑑賞)