これは評判も良くてずっと見たかった作品。実際に面白かったですねー。なるほどこんな感じか!と。淡々とした感じは「Ballast / 日本未公開 (2008)」にも似てるけど、あの映画みたいな事件は起きない。物語自体が淡々としている。最初はなんだかさっぱり分からないんですよ。でも徐々に主人公とかその周辺の事情が分かってくる。起承転結がはっきりとしていないと分からない人たちには辛い映画かもしれないですねー。いきなりの台詞が「ヨシュア・トゥリー世代なんだから」である。うん?である。U2ファンだった私(一様ファンクラブに入っていた時期もあった程)はもしかして...でもまさか黒人映画に?である。そしたら、主人公の叔母アマンダがミュージシャンでドラマーだという事を後で知る。そして後になってもU2の話になって主役のメイが「ボノとエッジね」と言うと、叔母はドラマーという事もあって「失礼ね、ラリーの名前を出さないなんて!そしてアダムも居るわよ!」とやり返す。叔母は初期の「ウォー」とか「ボーイ」とか知らないなんて...と憤る。面倒な叔母だが、そんな叔母を大好きだったのが主役のメイ。最初は叔母だとは知らなかった。雰囲気から親子なんだと思ってた。と、後から後からなるほどねーと思わす手法なのがこの映画の特徴。
叔母のアマンダは乳がんで亡くなってしまった。残された遺品をメイは整理していく。メイは叔母の為に活躍していたメイキャップアーティストのキャリアを一旦置いて、一緒に住み世話に専念していた。でもアマンダには娘フランが居た。でもフランとは喧嘩ばかり。またフランはフランで母とメイの関係に嫉妬もしていたのもあって、頑なになっていた。とは言え、メイからしたら、やはり娘ではないので、アマンダに踏み込めない部分もあったりしたのですね。かなり深いドラマです。アマンダが居なくなり、フランと衝突し、そしてこれからメイはどうしていくのか... 色々な事がある中で、メイは次第にやるべき事が明確に分かってくるようになるのです。最初は希望が持てなかったものこそ、実はそこに未来があったりするんですよ。Easy come, Easy go(悪銭身につかず)なんですよ。
主人公を演じたのがサリ・リチャードソン=ホイットフィールド。最近は「Black Dynamite / 日本未公開 (2009)」でも活躍してましたが、今回も本当に素晴らしかった。彼女の憂いに沈んだ顔が寂しげでしたね。美人だから絵になる。フランの息子レイヴンとの会話で、ナズかジェイZか?というのも面白かったですね。2人はそれで心を打解けていく。
それにしても監督のエヴァ・デュヴルネの半端無いグッドライフカフェ愛に嬉しくなっちゃいますね。彼女は「This Is the Life / 日本未公開 (2008)」も監督していた。この映画でもレイヴンが「グッド・ライフ・ラブ」というTシャツを着ていたり、アマンダの家には「This is the Life」のポスターがあったりした。綺麗な映像も多かった!
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(4.75点/5点満点中:DVDにて鑑賞)