今年はこのネタばかりになってしまうかもしれないが... それ位20年前の1991年はブラックムービーにとっての金字塔的な年だった。その中でも1991年を語る上で一番象徴的な作品が「Boyz N The Hood / ボーイズ’ン・ザ・フッド (1991)」だった。1991年7月12日にアメリカで全米公開されて、丁度20周年。公開当時は劇場内で発砲事件が起きるなどの騒ぎもあったが、監督のジョン・シングルトンは最年少でその年のアカデミー賞の監督賞と脚本賞にノミネートされた。そしてとっても名誉となる「アメリカ国立フィルム登録簿」にも2002年に登録された。
アイス・キューブが作詞したN.W.A(というかイージーE)の曲「Boyz-n-the-Hood」にインスパイアされ書いたのが、この「ボーイズ’ン・ザ・フッド」だった。ジョン・シングルトンは作詞したアイス・キューブに出て欲しくて脚本を送ったが、アイス・キューブは最初「映画なんて」と見向きもしなかったという。エージェント等にしつこく言われてようやく読み始めて、すぐに魅了されたという。そしてスクリーンテストを受けて、ジョン・シングルトンはすぐに彼はドウボーイだと感じたと話していた。(以上、VH1のアイス・キューブのドキュメンタリーから)
20周年を迎えて作家や脚本家として知られるジョン・リドリーがこの作品についてNPRにて特集を組んでいる。その中で、コロンビア映画のエクゼクティブだったステファニー・アランは「コロンビアはジョン・シングルトンに監督の座から降りるように100,000ドル(約1千万円)を用意したのよ。でもジョンは降りなかった。尊敬してるわ」と答えている。
そしてシングルトンはこの映画を作った理由として「映画が大好きだったんだ。でもどれも俺みたいな人々が主人公じゃなかった。友達とハリウッドまでバスで映画を見に行ったさ、そして俺達はいつもバーモント(ハリウッド通りからコンプトン等を結ぶ大通り)にいくまでずっと俺達だったらどんな映画を作るかって話をしていた。そしていつもそれは「ボーイズ’ン・ザ・フッド」みたいな映画だったのさ」と話している。
'Boyz N The Hood' Rings Out, 20 Years Later : NPR
20周年を記念してアメリカではブルーレイで7月19日から発売されている。
90年代は「フッド」映画なんて呼ばれた作品「South Central / サウス・セントラル (1992)」や「Fresh / フレッシュ (1994)」に「Friday / friday (1995)」という子供達を増した。監督のジョン・シングルトン、主演のキューバ・グッティング・ジュニア、アイス・キューブ、モリス・チェスナット、ローレンス・フィッシュバーン、アンジェラ・バセット、ニア・ロング、レジーナ・キング... 彼等はみな映画の世界で今も活躍し、今のブラックムービー界を牽引している。