バハマ映画!!!!!と「!」を沢山付けたくなるような作品でした。バハマ映画と言ってもIMDBで調べてみたら33本しかない。殆どがドキュメンタリー映画。バハマを舞台にしたドラマ作品はこの作品が始めてと言ってもいい位。でもここ最近は少しずつ作られているみたい。カリーム・モーティマーというバハマ出身の若手監督が出てきて、彼は同性愛者についての映画を撮っている様子。この作品は、そのモーティマーとは別。マリア・ゴヴァンというバハマとギリシャとスコットランドの血を引く女性が監督。
所で、バハマと言えば...シドニー・ポワチエですよね!!ポワチエはバハマの日本親善大使にも選ばれている。もう1人、バハマ出身の有名俳優が居るのをご存知ですかね??「Cotton Comes to Harlem / ロールスロイスに銀の銃 (1970)」や「The Baron / 日本未公開 (1977)」等で知られるカルヴィン・ロックハートもバハマのナッソー出身なのです。そのロックハートの遺作ともなった作品がこの映画です。この映画の冒頭に出てくる漁師のおじいちゃんを演じています。「Cotton Comes to Harlem / ロールスロイスに銀の銃 (1970)」で見せた男の色気は健在。この映画撮影後に故郷のナッソーでロックハートは亡くなっております。
物語はタイトルにもなっている14歳のレインちゃんが主役。おばあちゃんと共にラグド島という小さな島に住んでいるが、おばあちゃんを病気で亡くし、母が居るナッソーに向かう。おばあちゃんに聞かされていた母の姿とは全く違う女性がレインを港で待っていた。二人が向かったのが、近所では「墓場」と呼ばれているゲトー。学校に通うようになるが、お金も払えないし、ユニフォームも買えないレイン。担任の先生には怪訝な顔をされて、思わず教室を飛び出した所で助けてくれたのがアダムス先生。アダムス先生はレインに誰も取りに来ない忘れ物のユニフォームを渡す。アダムス先生は体育の先生で、陸上の顧問。ラグド島でも走りで有名だったレインは、アダムス先生の下で陸上を始めるのです。
と書くと、少女が主役の青春ドラマ作品に聞こえると思いますが、実に深い!レインちゃんがナッソーで友達になるのが、ナッソー版子ギャルでマリファナを吸ったり売春したりと悪い!でもレインにはとっても優しい子なのです。お母さんも仕事が無く、売春をして生活。やはりクスリにも手を出している。このお母さんと娘の距離感の描き方が絶妙。そしてレインに親切にしてくれるアダムス先生は同性愛者なのです。「墓場」のゲトーもあれば、豪華客船も止まっているナッソーの町並み。そしてラグド島の美しい外観。そしてカリビアンミュージック。うぉー、これがバハマなのか!!とテンションがあがります。冒頭からこの映画に心を鷲づかみにされましたね。そして最後号泣。グッとくる作品でしたね。
そしてCCHパウンダーやイルマ・P・ホールにニッキー・ミショーというアメリカからの女優陣も素晴らしい演技を見せてくれています。もちろんバハマ出身のレインちゃんや子ギャルを演じた2人も自然で素晴らしい。豪華客船でバハマを訪れている人達は絶対に垣間見られないバハマの実態が見れると思います。
(5点満点:DVDにて雨音を聞きながら鑑賞)