SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー

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Sergeant Rutledge / バファロー大隊 (1960) 764本目

名監督ジョン・フォードのウエスタン作品。ウエスタンと言っても普通のウエスタンとは違って、軍の法廷を舞台にした社会派ドラマ。でもジョン・フォードらしいモニュメント・バレーの壮大な姿もちゃんと美しく出てくる。今回原題の「ラトレッジ軍曹」を演じたのが「Black Jesus / 日本未公開 (1968)」のウッディ・ストロード。彼が演じたブラクストン・ラトレッジ一等軍曹は、第9連隊バッファロー部隊(黒人部隊)をリードし尊敬されていた人物。所がその英雄ゆえにたまたまいた場所と時が悪く... キャプテンとその娘を殺した罪で逮捕されてしまうのです。その弁護を買って出たのが白人の若き熱血漢トム・カントレル中尉という人物。この手の白人の上司が黒人の優秀な部下を助けるというのは、今でもある手法ですよね。同じ軍隊ものの「Glory / グローリー (1989)」がまさにその典型。「グローリー」は史実とも違うから性質が悪い。でもジョン・フォードのこの作品にはそのバツの悪さは全く感じませんでしたね。寧ろジョン・フォードの演出の上手さに拍手したくなる位。つまらない法廷シーンだけでなく、サスペンス調でありながら、ウエスタンのアクションあり、社会派ドラマを混ぜた娯楽に優れそして問題を投げかけてくる作品。これまたウッディ・ストロードの多くを語らず威風堂々たる風貌がこの役にぴったり。ファノ・フェルナンデスの老兵ぶりも中々。ちなみにファノ・フェルナンデスはプエルトリコ出身の黒人俳優。30年代からオスカー・ミショーの映画にも出演しているベテラン俳優。

ジョン・フォードの黒人差別を扱った作品をもっと見たかった。名監督故にそれなりのパワーを持っていますからね。「駅馬車」とか見てファンの人々はこの作品に少し驚いたんじゃないかと思う。この位の関係性が丁度いいのかもしれませんね。この当時は(今でもか)あんまり関わるとすぐに「黒人好き」のレッテル貼られますから。この映画が出来た1960年は公民権運動が絶頂期を迎えていた頃。モントゴメリーのバスボイコットが1955年。シットインが1960年。公民権運動はジョン・フォードをも動かしたのかもしれませんね。真相は分かりませんけど。そうであって欲しい。映画が制作された年とその時代は影響されていて当然だと思うし。

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(4.5点/5点満点中:DVDにて鑑賞)