SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて

Daratt / 日本未公開 (2006) 705本目

もうアフリカ映画観てないので、飽きたと思ってたでしょ?ふふふ。飽きてないですよ。マハメット=サレー・ハルーン本当に良いですね。好きな監督のリストに入れさせていただきます。今回のこの映画も最高。今回のこの映画にも出演しているユースフ・ジャオロは、ハルーン監督のカンヌ映画祭(ちょうど今日から開催!)出展作「A Screaming Man / 終わりなき叫び (2010)」で主役の老人アダムを演じています。この俳優も素晴らしいです。

今回はチャドの内戦を扱った作品。でもだからと言って、大量殺戮の風景があったり、銃でバンバン撃ち殺すとかは無し。もっと別の方法でハルーン監督は観客の心に訴えかけてきます。その方法というのが、実に人間味があるのです。だからこそ人に伝わるのです。戦争は人間が複雑に絡み合う。アフリカらしく物語が飽きさせません。主役は16歳の男の子。でも男の子なんて呼んでしまうと、その人は怒ります。もう立派な大人だぜと。アティムと名前がつけられている。アティムとは孤児という意味。父はアティムが生まれる前に内戦の混乱の中何者かによって殺されている。アティムは盲目のおじいちゃんによって育てられる。ラジオで内戦の戦犯が恩赦されるというニュースを聞いたおじいちゃんは怒り、今こそアティムの父を殺した男に仕返しすべきだと、父が持っていた銃をアティムに渡す。16年の憎しみを抱えていたアティムはすぐに家を出て、その男の住むンジャメナに向かう。男はナサラという名前で、若い妻を貰って町でパン屋さんを営んでいる。今は悪い事から足を洗い、売れ残ったパンを孤児達に毎日配っている。それを見ていたのがアティム。他の孤児の子達に混じってパンを貰うけれど、そのパンを一口食べて、すぐにナサラに向かって吐き出す。そんな姿を見たナサラは、お前をパン屋で使ってやるから明日から来いと...

この映画が面白いのはナサラが何者かによって喉を切られていて、ボイスボックスによってじゃないと会話が出来ない。それは誰が切ったのか分からない。もしかしたらアティムの父にやられたんじゃないかと思うのだけど、そこはわざとハッキリさせてない。その点が非常に面白かった。ボイスボックスとはロジャー・トラウトマンというか、ロジャーとはちょっと違う... 一番分かりやすいのが「CB4 / CB4 (1993)」で小さなマイクみたいな機械を喉に当てて話す男が居たのを覚えてますかね?あんな感じです。話せないから寡黙になっていて、なんとも感情表現が下手になっている男なんです。
アティムも良かった。目力があってストレート。我慢強くて、正直者。ちなみにアティムが向かったのがンジャメナンジャメナはチャドの首都で都市。アティムは地方からそこに向かってます。最初にンジャメナで出会った同じ年頃の男の子がアティムの面倒を見るんだけど、その子は電球や電灯を夜に盗んで転売している。最初はアティムも嫌々やるけれど、やっぱりそんな事したくないと、辞めてしまうのです。

また今回も映像が美しい。チャドという国は凄い美しい優雅な国なんじゃないかな?と思わせてくれます。今回も前回の「Abouna / 僕らの父さん (2002)」と同じくエチオピア出身のアブラハム・ハイレ・ビルが撮影技師担当。今回の映画タイトルである「Dry Season」にぴったりの乾燥した感じ。前のは色鮮やかだったのに、今回は地味。でも美しい。彼の事が気になったので調べてみたのですが、どうやらオランダで映画を学び、今もオランダに居るのかな?オランダから基金を貰ってエチオピアに映画学校を作ろうとしていたみたい。また「Queleh」という監督作品も存在するらしい。見たい。見たい。見たい!!カンヌも行きたい!!!

ラストも最高です。上手いなーって真剣に思いますよ。

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(5点満点:好物の山崎製パンを食べながら鑑賞)