先日、この作品とレイ・チャールズが主演の「Ballad in Blue / 星空 (1964)」が突如アメリカのライオンズゲートが「Music Makers」というシリーズでDVD化しました。レイ・チャールズの方は後日また。でも2作品って少なっ!
こちらの方はなぜ今までDVD化されなかったのか不思議なくらい、豪華なキャスティング。主役のアダムを演じたのが、サミー・デイビス・ジュニア。もう説明不要ですね。そしてそのお相手役が「Sounder / サウンダー (1972)」にてオスカーの主演女優にノミネートされている名女優シシリー・タイソン。2人の知り合いを演じているのが「Jungle Fever / ジャングル・フィーバー (1991)」のオシー・デイビス。この3人のキャスティングで映画オタクとしてはお腹一杯です!でも、主役がジャズマンという事で、ルイ・アームストロングにメル・トーメまで出演!二人ともちゃんと曲を披露してます。カツ丼に親子丼がのったコッテリ感。更に更に... サミー・デイビス・ジュニアという事で、ラットパックからピーター・ローフォードとフランク・シナトラの息子であるフランク・シナトラ・ジュニアを出しております。カツ丼と親子丼にカレーがのった感じ?このコッテリ感は凄いです。しかもサミー・デイビス・ジュニアが演じた主役が親身になって教えている若いトランペッターを演じているのがフランク・ジュニア。80年代のリック・アストリー(ネバゴナ)みたいな風貌で、サミーを慕う姿が泣けますね。
まーこれが、サミー・デイビスがカッコいい。どうもラットパックの中でのサミーというと、コミカルな面が前面に出るように思うのですが、この映画でのサミーは骨の髄からカッコいい。「Anna Lucasta / 日本未公開 (1959)」とかこの時期のサミーはやたらとカッコいいですね。私達がイメージするクールなジャズマンになりきっているのです。サッチモとのパーティでの会話など、表情が実に素敵。才能があるが影ある、最高にクールなジャズマン。そしてその影のある男にほれてしまう役がシシリー・タイソン。ウィッグもつけてないナチュラルなシシリー・タイソンで、実にキュート。シシリー・タイソンとジャズと言えば..やっぱりマイルス・デイビスですよね。ちょうど彼女がアルバムのカバーを務めたマイルスの「ソーサラー」のジャケットみたいなナチュラルさ。この映画の時には、まさか本当に後で天才ジャズトランペッターに恋するとは思ってもいなかったかな??この彼女の役は南部で公民権運動の活動をしていた女性役。やっぱり彼女は南部女性を演じるのですね。ニューヨーク生まれなのに。
サッチモが歌う曲がコミカルで、お客さんとの掛け合いとか絶妙。でも最後の一言にホロリときてしまいました。今まで、リル・ウェインにはまっていたのに、今日から急にまたジャズを聞き返しています。そういう風にジャズの良さに触れられる作品。
という事で、ブラックムービーファンとして...というか、テレビになってしまいますが... 盲目のピアノマンを演じ、やたらとこの映画で泣かせてくれたレスという役を演じていたのが、ジョニー・ブラウン。彼は黒人の間ではTVシットコム「グットタイムス」での主人公達が住む団地の建物を管理する(修理する)人で御馴染み。この人が全然修理してくれないんだ。いつもエレベーターが壊れてる。そして同じ「グットタイムス」に出演していたジャネット・デュボイスもこの映画にチョイ役で出てます。ちなみにモーガン・フリーマンも出ているらしいのだが、見つけられなかった。
この映画、冒頭のタイトルやクレジットの所からやたらとお洒落なのですが、監督はショーン・ペンやクリス・ペンの父レオ・ペンという人らしいです。映画よりもテレビ番組を主に監督していたみたいですね。プロデューサーに名前を連ねているアイク・ジョーンズは黒人プロデューサー。この時代では珍しい。しかも彼はサミーと同じく、あの時期にインターレイシャルカップルとして白人の有名女優と結婚していた。しかし、サミーへの執拗なバッシングを観ていたので、彼等は隠れて結婚していたらしい。
と、まあまた長くなるわな。
(5点満点:DVDにて鑑賞)