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Race to Freedom: The Underground Railroad / 日本未公開 (1994) (TV) 648本目

アンダーグランドレイルロード(地下鉄道)と呼ばれた南部の奴隷を北部やカナダに逃がす地下組織の物語です。いや正確に言えば、地下鉄道に助けられた奴隷を描いた物語です。地下鉄道の人々がどのように動いていたか分かります。地下鉄道と言えば、ハリエット・タブマンですね。自身も逃亡奴隷でありながら、何度もまた南部へ戻り多くの奴隷の逃亡を助けた事で知られています。映画ではアルフレ・ウッダードがタブマンを演じていてかっこいいのですが、なぜか彼女が逃亡計画の中心ではないんですよ。別の白人男性。しかも今回が地下鉄道での初の仕事となる男性。ま、その設定はハリウッドぽいなーと思うのですが、でもその設定が「この人大丈夫なのかな?信用出来るのかな?」と観客を余計にドキドキさせたりしてます。そして逃亡奴隷を追う賞金稼ぎのハンターにも、白人男性と黒人男性がコンビを組ませたりさせてます。その黒人の賞金稼ぎのハンターはなぜかミステリアスに包まれています。演じたのが「Cooley High / 日本未公開 (1975)」のグリン・ターマン。意外なんだけど、本当にミステリアス。
ま、でもこの手の映画は最後は何となく予想出来ちゃいますね。善が不幸になる訳がない。でもそれでも、逃亡奴隷たちに肩入れしてしまい、頑張れって思ってしまいます。でも本当に道のりは大変。夜の時間が長い冬が地下鉄道の活動時期だったらしいし、その過酷さが伝わってきます。北部に入っても賞金稼ぎのハンター達はやってくるし、北部の人だって逃亡奴隷を歓迎する人だけじゃないし。おー、やっと自由だ!と思っても...っていう感じで、色々とあって観客は目が離せません。一つの間違いが命取りなんですよ。そして知恵比べでもありますね。

さっきから「逃亡奴隷」なんて書いてますが、逃亡というか勝手にアフリカから連れて来られて奴隷にされたのですから「自由への道のり」ですよね。同じプランテーションから4人がカナダへ向かう事になるのですが、それぞれの思想が違っているのも面白いです。同じ奴隷の女性でも、一人は過酷な畑仕事で、もう一人はマスターのお気に入りで家の雑務。家の雑務の女性は「今戻ればマスターも許してくれる」とか思っていたりして、「自由」って何??と思っている女性。すると畑仕事の女性が「何甘い事言ってるのよ!これだから家で働いてる人達は嫌なのよ!」と怒ります。でもお互い言いたい事を言っている間に、同じ奴隷同士なので友情が芽生えていくんです。畑仕事の女性を演じたのがドーン・ルイス。「I'm Gonna Git You Sucka / ゴールデン・ヒーロー/最後の聖戦 (1988)」はキーネン・アイボリー・ウェイアンズの相手役。女の子の日に夜道で「スリラー」になっちゃった女性です。そしてもう一人の家の雑務の方がジャネット・ベイリー。初めて見ますが可愛い!そりゃ、マスターも気に入る訳です(ドーン・ルイスも可愛いけど)。そして男性はコートニー・B・ヴァンスアンジェラ・バセットの夫。この男性の台詞が素晴らしかった。先に書いたように今回地下鉄道からプランテーションにやってきたのが、初めての仕事になる素人。カナダ人なので奴隷とマスターの関係もあんまり良く分かってない。その2人がマスターと奴隷という立場に偽装する時に「絶対に奴隷達の目を見るな!見たくない物が見えてきちゃうからね。人間の姿、そして怒りなんかが...」という台詞。深いです。

映画は物凄く単純に描いていると思います。教科書的に誰にでも分かりやすく物事を伝えようとしてますね。実際にはもっと複雑でもっともっと大変だったんだろうなーとも思います。そのカナダや北部へ向かった奴隷の数だけ、もっと違ったドラマもあった事でしょう。更には失敗した人のドラマもあった事でしょう。そういう人達への思いを馳せてしまいます。今、自分にある「自由」とは何??自由って何??見た後は絶対に皆さんを尾崎豊にさせると思います。

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(4点/5点満点中:DVDにて鑑賞)