70年代のブラックパワーを描いた佳作「The Spook Who Sat by the Door / ブラック・ミッション/反逆のエージェント (1973)」。俳優等もしていた私も尊敬するIvan Dixon (アイヴァン・ディクソン)がメガホンを取った作品で、プロパガンダでCIAに黒人として初めて働く事になったのが、主人公ダン・フリーマン。しかしやらせてもらえる仕事は雑務ばかり。しかしフリーマンはCIAの技術を持って、黒人秘密結社を設立してCIAの差別主義者達に復讐するという、復讐劇というブラックスプロイテーション色を織り交ぜながらも、しっかりと主張する骨太なアクション映画だった。その原作となる同名の本を書いたのがサム・グリーンリー。映画の脚本も手がけた。そのグリーンリーがインタビューに答えている記事を読んだ。
興味深い事にグリーンリーは「ブラック・ミッション」の主人公と同じく情報局員だった過去を明らかにした。CIAでは無いようだが、1957年から1965年までアメリカの情報局に従事し、ギリシャとインドネシアやイラクにパキスタンに駐在した。
グリーンリーはその仕事のことをこう話している。
私は海外にアメリカのベストなイメージを植えつける目的で居た。基本的には嘘ばかりついていたね。
1958年頃にはイラクに駐在。その頃にはイラク国内でのクーデター等があり、力をつけていたサダム・フセインのパワーを目の当たりにしている。そしてマルコムXが暗殺されて間も無くの頃にアメリカに戻ってきた。そこでは丁度人種暴動とマルコムXやマーティン・ルーサー・キング・ジュニア暗殺やケネディ暗殺等が勃発していた時期であり、そしてメキシコオリンピックでのジョン・カルロスとトミー・スミスの無言のこぶしを見た。その間に書き上げたのが「ブラック・ミッション」の原作である。
最初はアメリカの出版社に持ち込んだが無視され、仕方なくイギリスで発表。以降は8ヶ国語で訳されるベストセラーになった。映画化する上で、グリーンリー本人は脚本とプロデュースを担当。監督には信頼が置けるアイヴァン・ディクソンにお願いし、音楽は小さい頃からの友人であるハービー・ハンコックに依頼した。そして主人公ダン・フリーマンには、マーカス・ガーヴェイの子孫で黒人至上主義の活動家カルロス・クックの息子であるローレンス・クックを抜擢した。
そして映画は1973年に公開。最初の週では中々の成績を収めたが、なぜかその直後に政府介入が入り公開劇場が激減。なので一般観客の目に触れる事はあまり無かったが、VHSが普及し始めてからは海賊版が氾濫しカルト人気となった。そして2004年にようやく正規版のDVDが発売された(その前には質の悪いDVDの海賊版も氾濫していた)。
一緒にインタビューを受けたジャーナリスト・作家のハーブ・ボイドはこう映画を表現した。
サム、最高に危険な映画だと私は思う。
それを受けてグリーンリーは
それをやつ等(政府)は知っていたのさ!
インタビューは他の革命などについても語っております。主に映画の部分を抜粋しました。
演技はイマイチでしたが、とっても面白い作品です。是非。
Great Article by Ice Pick Slim 17. Thank you for sharing.