多分多くの方はこの映画をナット・キング・コール見たさに見ると思うのですが、私ももちろんナット・キング・コールにも興味がありましたが、一番興味があったのがジャッキー・マムス・マーブリーのスタンダップコメディを見たいので手に取りました。後はダスティ・フレッチャーをもうちょっと見てみたいというもありました。ナット・キング・コールは説明要らずだと思うのですが、ちなみにマムス・マーブリーはヴォードヴィル時代からスタンダップコメディ...所謂しゃべくり漫談という形を作って舞台に立っていたコメディアンヌです。でもスタンダップだけでなく、歌やタップとかも出来ます。ダスティ・フレッチャーもコメディアンですが、スタンダップコメディというよりも、ドタバタコメディ。ドアを使って笑わせるコメディアンです。
面白い映画で、物語がちゃんとあってその中に当時の劇場のライブ模様が入ってるんですよ。似たような映画でしかも同年に作られている「Boarding House Blues / 日本未公開 (1948)」という映画がありますが、こちらとはちょっと違いますね(でも同じ製作者です)。ちゃんとライブ模様です。しかもあちらにもマムス・マーブリーは出ていますが(しかも主役)、あちらでは舞台の上でスタンダップを披露していませんからね。こちらはちゃんと舞台で披露しているので貴重です。今の時代に活躍していたらマムスの舞台のDVDとか何枚も売られていたと思いますが、残念ながらあの時代にはビデオで売られる事もなかったので、こういう映画とかTVで残っている...とかですからね。
ナット・キング・コールはピアノを弾きながら歌ってます。これが舞台用なのか、鍵盤を見ずに弾いたり、演奏中なのに他のメンバーのソロの時には鍵盤の蓋を閉めようとしたりコミカルな面もあるんです。でもこの頃のエンタテイナーはいいですよね。笑顔を絶やさない。
そしておぉー!と思ったのが、リンディ・ホップの...と言ってもピンと来ませんよね。「Malcolm X / マルコムX (1992)」でもマルコムとショーティ等が通っていたボールルームで飛び跳ねて踊っていたあの踊りですね。そのリンディ・ホップの一人者でもあって、「Malcolm X / マルコムX (1992)」でもそのシーンの振り付けを担当したフランキー・マニングが出演して踊っているのです。「Malcolm X / マルコムX (1992)」でも、凄いなーと思ったのですが、あれはやっぱり現代のダンサーが踊っているリンディ・ホップなので、この映画で見た本物のダンサー達は筋肉の付き方とかも違って凄かったです。女の子のふくらはぎの筋肉が半端ない。
そしてコメディ好きとしては、ぺターソン&ジャクソンという2人組みも気になりました。2人共に半端ないデブちゃんで見た目も変わりないんですが、声が全然違うんです。その2人が歌い、一人は踊り、そしてモノマネまで披露しています。この頃のエンタテイナーは今のように細分化されていなくて、何でも器用に凄い!という感じです。
一人ジャズボーカリストのビバリー・ホワイトとは、まるでビヨンセの「Single Ladies」のような「結婚なんてしたくないわ」という曲を歌ってました。タップダンスのクラーク兄弟は、同じ兄弟タップのニコラス兄弟のアクロバティックとは違ったクラシカルな滑らかなタップでした。そして当時人気だったビッグバンドはアンディ・カーク・バンドが出演。有名なサックスプレイヤーのウィリス・ジャクソンがサックス吹いてます。彼が俳優のポール・ウィンフィールドにソックリ。多分世界でソックリな人の3人の中の一人。ビックリするくらい似てました。
最後になってしまいましたが、主役のダスティ・フレッチャーの「Open the door, Richard」というフレーズ、本でしか見た事がなかったので、映像で見れたのが嬉しかった。なるほど、映像で見るとすぐ分かる。あー、あと「風と共に去りぬ」のバタフライ・マックイーンも出てるんですよ。ダスティ・フレッチャーとバタフライの絡みはお互いのお約束を外して無くて、思わず笑ってしまいました。
「Boarding House Blues / 日本未公開 (1948)」と合わせてみると面白いと思います。
感想はこちら。
(4.25点/5点満点中:DVDにて鑑賞)