Cast >> Paul Winfield (Keys), Kristy McNichol (Julie Sawyer), Burl Ives (Carruthers) ...
Director >> Samuel Fuller
Writer >> Samuel Fuller, Curtis Hanson, Romain Gary (story)
Producer >> Jon Davison
Genre >> Drama
総合ポイント >> 4.75/5点満点
Contents >> 5 Performance >> 4 Direct >> 5 Music >> 5
Visually, Not Racially
ジュリー(クリスティ・マクニコル)は見通しの悪い夜、一匹の犬を車で轢いてしまう。すぐに病院で手当をして貰い、飼い主を探すが見つからなかった。そんな時にジュリーが家で襲われそうになった所を犬が助けてくれた。ジュリーは自分の犬のように可愛がるようになったが、ある日家から抜け出してしまい、町で何もしていない黒人を襲った。その犬は黒人を襲うように調教された「ホワイト・ドッグ」だったのだ。
監督のサミュエル・フュラーの癖のある生々しい描写と、彼の一貫した人種差別に対する憎しみが勝利をもたらした作品だ。犬という人間の友達であり、人間の犠牲者でもある動物を通して描く人種差別。人間も犬と同じで、調教された人達なのだ。ジュリーが元飼い主の小さな娘達に向かって、「こんなバカ親父の話しなんて2度と聞かないで!」と怒鳴り散らすシーンが象徴的だ。彼女達もバカな親に育てば、ひょっとしたら犬と同じで差別者にだってなるうるのだから。また悲しいかな、黒人は害のない友人なのだと分かると、今度は元飼い主と同じ白人の老人を憎んでしまう。ここは実は原作では黒人の調教師のキーズがそのように調教するようになっているのだが、映画ではフュラーが変えたらしい。フュラーがそのように変えたお陰で、ヒューマニズム溢れる作品となった。
また犬が抜け出して街を歩いている時に、犬の死角となった所に黒人の小さな男の子が居たりするシーンがあって、ドキドキする。そして犬が教会で人を襲った時に、自然を兄弟と讃美していたフランチェスカが犬に囲まれたステンドグラスの下で亡くなっていたりとメッセージ性が強い。またエンニオ・モリコーネの感傷的な曲も物語を盛り上げている。
人間の奥底に潜む「差別心」と何だろう?サミュエル・フュラーは、それを狂気的に独特の癖のある映像で沢山の事が見えてくるように思えた。映画の中で「犬は白か黒しか分からないんだ。視覚的な問題で人種差別的な問題ではない」という台詞がある。視覚的にも人種差別的にも分かる人間だからこそ、簡単にそれが変わるのかもしれないという希望も見える。
(1/26/09:DVDにて鑑賞)