この前書いた通り、SAG賞のトリビュートでは無視されてしまったドールマイト事、ルディ・レイ・ムーアです。ま、でも組合とか無視出来たからこそ、低予算であんだけの映画を作れたのかもしれません。オスカーのトリビュートでも無視されちゃうのかな... されちゃうでしょうね。でも彼の功績は人々の心に残っております。
この作品では、ルディ・レイ・ムーア本人以外にも彼が作った女性キャラクタークイーン・ビー(女王蜂)を演じていたレディ・リード、コメディアンのエディ・グリフィンとポール・ムーニーとロバート・タウンゼント、「Sanford & Son」というレッド・フォックスが主演のTVシットコムに出ていたラワンダ・ペイジを始め、ラップ界にも影響を与えたムーアの為にアイスT、イージーE、マイクE(ビースティ・ボーイズ)、スヌープ・ドッグ等が彼の功績を語る。そして意外にも「Coming to America / 星の王子ニューヨークへ行く (1988)等で知られるジョン・ランディス監督まで、彼の歴史や功績を語っています。ドールマイトは色々な人々に愛されていたのですね。エディ・グリフィンは彼のモノローグを完璧にコピーしていた!
彼の代表作となった「Dolemite / ドールマイト (1975)」は、自分で資金を集めて作った自主制作映画。最初は周りから頭がおかしいとバカにされた。しかし、蓋を開けて見るとインディアナでの最初の公開で売り切れになる程の盛況。映画批評家からは散々の悪い評価を受けるも、その面白さが口コミで広がって、同時期に公開され物議を呼んだあの話題作「Mandingo / マンディンゴ (1975)」の興行成績を抜いてしまう。もちろんその映画よりも低予算で作られているので、他の映画会社からも注目を集めるようになった。また彼の場合、駆け出しの才能ある人々を見出すのも上手かった。後にシンガーとなるジェームス・イングラムが「Dolemite / ドールマイト (1975)」でキーボード弾いていたり、後に「ゴーストバスターズ」で有名になるアーニー・ハドソンが「The Human Tornado / ヒューマン・トルネード (1976)」に小さい役で出ていたり。
彼の60年近い芸能界のキャリアの中で、ルディ・レイ・ムーアは様々にキャリアをシフトチェンジしている。アフリカン・ダンスやモダンダンスから始まり、カントリー調のR&Bシンガー、そしてスタンダップ・コメディアン、レコーディング・アーティスト、レコード店員、映画俳優、ラップアーティスト、レコード・プロデューサー... 中々人には出来ない身軽さと行動力と分析力のある人だ。厳しい芸能界で60年も生き抜いた彼の生命力は只者ではない。
また私の大好きな作品の一つである「Petey Wheatstraw / ピティー・ウィートストロー (1977)」のタイトルは、ブルースシンガーのPeetie Wheatstrawの神話からきているそうだ。他にもレディ・リードがあんなキャラクターを演じていたのは、息子を大学に入れたかったという母心とか、色んな秘話と伝説が聞けて面白かったです。後、「Dolemite / ドールマイト (1975)」の名シーンであるドールマイトが警察をやっつけるシーンのロケーションは、私が知っている場所での撮影だった事もビックリした。今度通りかかったら、おーーーって感動してエアドールマイト風空手首フリフリをやってきますわ。
っていうか、ドキュメンタリーなのに笑いぱなしでした。やっぱり「伝説」!!!
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(4.25点/5点満点中:DVDにて鑑賞)