VH1という音楽チャンネルで放送されたミニシリーズです。2004年から放送されていたようですが、見た事無かった。年末に再放送されていたので、録画して見ました。いやー、面白かった!ヒップホップ関係のドキュメンタリーは山とありますが、その中でも最高級品です。一挙5時間、ヒップホップ30年間の歴史です。2004年の時、私はちょうど30チョイだったので、私はヒップホップの歴史と共に生まれてきたんですね。でも私の所までにたどり着くのは、それから10年も先の事。小学生の頃、ビートたけしが大好きだったんですよ。ビートたけしのオールナイトニッポンが聞きたくて、ずっとニッポン放送を聴いていたんですが、その前の前あたりの番組に久保田利伸がラジオ番組持ってたんですよ。そのラジオゲストに一度来ていたのが、ランDMCでした。その時の態度が横柄だったのか、彼等が帰った後ずっと久保田は文句言ってましたけどね。その時に初めて「ヒップホップ」を意識した初めての日です。ちょうど「Walk This Way」でヒットした辺りだったと思います。兄が洋楽好きだったので、小さい頃から真似して聞いていたのでその前から耳には入ってきてましたけどね。あれから20年... 私も大人になり色々とありましたが、ヒップホップも色々でしたね。30年とは人で言えば一番いい時かもしれないですね。その歴史が殆ど全て網羅されています。
丁度「Notorious / ノトーリアスB.I.G. (2009)」を見て、ヒップホップ熱が再発して盛り上がっていた時だったので、これを見た時には「ヒップホップ、最高〜〜〜!」と雄たけびをあげそうになりました。とは言え、私も20年の間ずっとヒップホップを追ってきた訳でもありません。パブリック・エナミーにはまった頃はNYサウンドも好きだったんですが、ウータン・クランの時期になるとそうでも無くなります。どちらかと言えばファンクが入ったウエストの方が好きだった。そして結婚・妊娠という忙しい間にジェイZが出てきたのでニューヨークは全く聴かなくなりましたね。このドキュメンタリーの中では、スヌープとウォーレンGとネイト・ドッグ(早く回復を!)やドクター・ドレがインタビューに答えていて「ウエストVSイースト」について語ってました。スヌープだったか、ドクター・ドレだったか?が、「ウエストはただ俺たちも一端のラッパーだって事を認めて貰いたかっただけなんだ」と言ってましたわ。この時期は丁度2パックとかが人気でお金も人気もパワーもウエストにはあったけれど、尊敬という言葉だけが無かったと。
面白いのが、オークランドもちゃんとカバーしているのが良かった。ブラックパンサー党やリベラルなカリフォルニア大バークレイ校の影響もあった事や、そしてオークランドは毎年大きなピンプ大会が行われる街もあって、Too Shortが自然に出てきた事等。Too Shortは南部系のベースサウンドを使った事など。
そしてその本家南部のゲトー・ポーイズやアウトキャストが出てきた。ウエストだ、イーストだと言ってシュグ・ナイトがイーストをディスった「ソースアワード」の最中、アウトキャストがベスト・ニュー・グループにノミネートされて受賞した。その受賞スピーチの壇上に上がろうとしたアウトキャストは、ニューヨークの観客から強烈なブーイングを受けている。そのスピーチでは、アンドレ3000が「サウスだって言うことあるんだ!」という捨て台詞だけを吐いて壇上を降りた。ウエストがそうだったように新参者には厳しいのがヒップホップ。でもそうやってお互いが切磋琢磨していったのが分かります。でもこの争いが、2パックとビギーの死によって幕が下ろされたのが非常に悲しい事だった。
これからどんどん熟成されてもっと大人になっていくんだと思う。これからの30年は私はどんどんと年を取ってもっと大人にはなるけれど、その分色んな部分が衰えてくる。でもヒップホップのこれからの30年は今までもそうだったように「若者の声を聴き、そして語りかける」を忘れずに、若いエネルギーで沢山のものを生み出して欲しい。30年後の私はヒップホップできっと体は動かないけれど、心はまだまだ動かされたいと思う。
感想はこちら。
(5点満点:TV放映中えびばでぃすくりぃーむで鑑賞)