いやー、珍しい事に100本映画が溜まっている。週末にも映画館にも足を運んだし、DVDも見たし。ここの所映画人生は充実。幸せだね。
という訳で、最近特に多い「音楽系」の映画ですが、これはその先駆者にして最強(に近い)...かな。何度見ても非常に楽しい映画。リトル・リチャードの自伝映画を「The Five Heartbeats / ファイブ・ハートビーツ (1991)」のロバート・タウンゼントが監督しています。ロバート・タウンゼントの作る世界はいつも優しい。見た後は必ずほんわかとした暖かい気持ちになれます。でもやはり音楽でも黒人は厳しい立場だった訳で...このリトル・リチャードにしたら、自分が作った曲をパット・ブーンに勝手にカバーされてしまうという事です。しかもリトル・リチャードは黒人というだけで、メインストリームのラジオ番組やテレビ番組からは排除されてしまい、勝手にカバーしたパット・ブーンが儲けてしまいます。今みたいに著作権だのは厳しくないので、リトル・リチャードは泣き寝入りするしかなかった。だったら、どうやってパット・ブーンに対抗するか... ここでは非常に面白い方法で、それが映画の中でしっかりと描かれています。痛快です。してやったり感があります。そういう甘さだけじゃない部分がロバート・タウンゼントは上手いですね。ビタースイートというものです。
そしてロバート・タウンゼントは、その題材となった人物を本当に好きなんだろうなーと思います。ここでもリトル・リチャードの名曲「ルシール」や「トゥッティ・フルッティ」、「ロング・トール・サリー」にまつまるエピソードも上手く描いているし、リトル・リチャードの家族、友人等のエピソードも上手い。そしてリトル・リチャードのパンケーキ31も面白い。
そして主演がレオン。ロバート・タウンゼントの「ファイブ・ハートビーツ」にも出演して女性にモテるセカンドリードボーカルを演じ、「The Temptations / ゲット・レディ! 栄光のテンプテーションズ物語 (1998)」ではデビット・ラフィンにそっくりな事でも話題になったレオン。今まで彼が演じてきたシンガー達とは全然タイプの違うリトル・リチャードを演じています。これがビックリ。リトル・リチャードにしか見えないんだから。彼にシンガーを演じさせると右に出る者はいないんじゃないか...とすら思えてくる。リトル・リチャードのパブリックな表の顔と、プライベートな裏の顔の演技も面白いです。その2つの差は無いけれど、両方合わせてリトル・リチャードだなーと思わせてくれます。奇妙な言動の多いリチャードですが、中々カッコいい台詞もあったりします。「貴方の行為は許せないけれど、貴方を人として許します」。リチャードが敬虔なキリスト教徒だったのも分かります。
ルシールを演じたタマラ・ジョーンズが最高にキュート。そしてここにも「Nightjohn / 日本未公開 (1996)」のカール・ルンブリーが出ているのだ。リチャードの厳しいお父さん役。ピッタリなのだ。
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(5点満点:DVDにてトゥッティ・フルッティに鑑賞)