この映画の予告に惹かれたのもあって、DVDが発売したので見てみた。
思っていた以上に見ごたえがあった。見る前は老人問題を絡めて、歌で感動させようっていう気だな!と身構えていたのですが、その老人達の魅力にそんな気も消えてしまい...すっかり目を真っ赤にさせて感動してしまいました。
マサチューセッツ州の小さな町に存在する平均80歳という老人達のコーラス隊。というと、私たちが興味の無い古い歌を歌うのかと思えば... ジェームス・ブラウンの「I Feel Good」とかジミ・ヘンドリックスの「Purple Haze」、そしてソニック・ユースやコールドプレイの曲まで歌ってしまうおじいちゃん・おばあちゃんの面々。「今パンクの曲を歌ったんだけど分かってる?」と聞かれれば、92歳のおばあちゃんは「だから何さ?」と、おばあちゃんのほうがパンク。そのおばあちゃんの自宅で撮影中に「おばあちゃんの寝室見せてよ」と言うと、「こんなに大勢の男性が一度に寝室に来るなんて始めて」と言い、実際に監督とベットの上に座ると、もっと近づいた方がいい?と隣に座る始末。彼等の目は嬉しそうに光っている。そのおばあちゃんもこのドキュメンタリー撮影中は生きていたが、後に亡くなってしまっている。撮影中にも撮影クルーは何人かの死を目の辺りにする事になる。
CDという物を知らず、どちらが表裏か分からずかけ方も知らないおじいちゃん達が、夢中になって歌を歌う。さすがに疲れて練習中に居眠りしちゃうおばあちゃんも居る。それをまとめるのが40代?50代?の音楽監督のボブ・シルマン。そのシルマンは、おじいちゃん・おばあちゃんに真っ向から取り組む。歌に関しては遠慮なんて無い。ダメな時にはダメだと言う。でもシルマンが老人達を尊敬しているのも分かる。シルマンが本気だったからこそ、おじいちゃん・おばあちゃんが夢中になっていったではないか?と思う。歌うという事で人生の秋を迎えている中、新しい生きがいを見つけたように思えた。
彼等は死と言うものが身近だからこそ、死というジョークで笑ったり、生きる事と自分を大切にしているのが良く分かる。自分が好きだから歌う。彼等は自分が好きな事をしているだけに過ぎないが、彼等の歌と輝いた顔は、極悪非道な囚人達の心まで染み渡ってしまうようでした。
別にこれを日本の老人問題に生かせ!とは思わない。彼等の姿は問題点とかそういう事よりも、人生にとって一番大事である生きるという意味を伝えてくれているんですよね。
感想はこちら。
(4.75点/5点満点中:DVDにて鑑賞)