「ハンコック」といきたい所ですが、その前にこれ。
世界に何台もないエンツォ・フェラーリを豪快に破壊した男エディ・グリフィンのスタンダップコメディライブ映像です。
なんだかこんなイキイキとしたエディ・グリフィンを久々に見た気がするし、こんな怒りに満ちたエディ・グリフィンを初めて見た気もする。エディ・グリフィンのスタンダップコメディのイメージは、プリンスやマイケル・ジャクソンの歌・ダンス真似に下ネタ...というイメージ。劇場公開された「DysFunktional Family / 日本未公開 (2003)」では、なんで下ネタが多いのかも良く分かるし、ビデオになっている「Voodoo Child」もその路線だったと思う。所が今回はとってもポリティカルでインテリ。舞台セットにも首つりの縄が吊らされていたり、ドン・アイムス(差別発言が問題になった人)の写真があったり(映像ではボカシが入ってますが)、KKKの写真があったりと挑発的です。それに凄い量の本を読んでいると思われます。聖書もそうだし、他の本も沢山読んでいる感じが伝わりました。ロサンジェルスのギャングのクリップスやブラッズの話だって、彼はかなり調べている感じ。だから説得力があって面白いんです。でも、コメディアンらしく他の人とは見方が違う。やっぱり彼等は3つ目の目を持っているんだろうなーと思う。人とはちょっと違う観点・感性で我々の目を見開いてくれます。
でもお約束の下ネタにマイケル・ジャクソンの真似は外しませんでした。プリンスも見たかったけど。その代わりに、リチャード・プライヤーを復活させてます!天国でのリチャード・プライヤーのスタンダップコメディの様子を真似してくれるんですよ。しかも、リチャード・プライヤーと泣ける思い出エピソードも語ってくれてます。もうそこだけで5点かも。
彼が特典映像で語っている一つが気になったので調べてみました。ロサンジェルスを代表するギャングであるクリップスの由来。前にもクリップスのメンバーだったクレ・スローアンのドキュメンタリー映画「Bastards of the Party / 日本未公開 (2005)」でも語られていたけれど、クリップスとブラッズの由来はブラックパンサーという事。そしてクリップス(CRIPS)の名前の由来がクリップスのメンバーにCripple(足が不自由)な男が居たからだというのは有名な話ですが、実は「Community Revolutionary Inner-city Service(エディは間違えてCommnutiy Resistant Improve Progressと言っていたけれど)」の頭文字だという事。でもその由来はクリップスの創設者の1人であるスタンリー・”トゥッキー”・ウィリアムスが自伝で否定している。「俺たちはコミュニティを守るために結成した訳じゃない。自分や家族を守るため。ブラックパンサーとも関係ない」と書いている。このCommunity云々は、どうやら刑務所の中で語られているらしいのだ。よくプリズン系の映画に出てくる少し年を取っている中年で、若者達を教育しようとしているあの手の人達が刑務所に入っている若い子に向けて語っているのが、この話らしい。きっと「コミュニティを守る為に結成したのに、なんで殺しあっているのだ」と教育しているのかも...と想像してみる。
言いたい放題ですが、中々的を得ていたりもしますので面白かったです。
感想はこちら。
(4.75点/5点満点中:DVDにて鑑賞)