SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて

Mr. Untouchable / 日本未公開 (2008) 143本目

私にとって「ミスター・アンタッチャブル」と言えば、2004年M-1にて未だ破られていない最高得点673点でチャンピオンになった山崎君か柴田君なのだけど...(今週のJunkのポッドキャスト聞いてみてくださいな)。ニューヨークの闇とそれを追う警察の間での「ミスター・アンタッチャブル」と言えば、映画「アメリカン・ギャングスター」にも出てきたリロイ・”ニッキー”・バーンズの事らしい。警察が何とかバーンズを捕まえて裁判にかけても、バーンズの財力に物を言わせて優秀な(とは思いたくない)...というかそういうのが得意な弁護士のお陰で、すべて無罪となってしまう...いわば、法を持っても「手がつけられない」という男「ミスター・アンタッチャブル」がニッキー・バーンズだった。その人のドキュメンタリーです。監督は「スラム」のマーク・レヴィン。ニッキー・バーンズは今現在も存在し、アメリカ(の筈)のどこかで「目撃者保護」の理由でひっそりと??暮らしている。今回はインタビューも受けているが、その目撃者保護の理由で彼の姿がカメラに映る事はない。光を消した部屋でニッキー・バーンズと言われる男の影がカメラに不気味に映るのみ。本当に闇となってしまった訳だ。「アメリカン・ギャングスター」では、さもフランク・ルーカスが大物のような感じで描かれていましたが、実際にはこのニッキー・バーンズの方が大物で人気者だった。いや実際には彼らの前の世代であるバンピー・ジョンソンが一番有名なギャング。バンピーに纏わる映画も「Hoodlum」があるし、「コットンクラブ」でもバンピーがモデルのギャングが出てくる。「ニュー・ジャック・シティ」のニノ・ブラウンはニッキー・バーンズがモデルと言われている。

その男が「アメリカン・ドリーム」を掴み、そして落ちていく様が上手く描かれているドキュメンタリーだと思います。やっぱり本物の「アメリカン・ドリーム」を掴んだのなら、それは揺ぎ無い物になった筈。偽者は何だって壊れやすい物。自分のエゴや欲だけが渦巻くこういう闇の世界では、成功しても脆い物。

まー、でもフランク・ルーカスもニッキー・バーンズも同じ「ラット(密告者・裏切り者)」となって、同じ余生を過ごしているのも興味深い点です。情けないし惨め。2人共にインタビューで未だに自分の昔の功績(とは思えないけど)を語る。反省している様子等ない。でも、バーンズに裏切られて罪を刑務所などで全うした男達は、今はコミュニティに戻り、子供達が犯罪に関わらないような運動をしているらしい。

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(4.25点/5点満点中:DVDにて鑑賞)