楽しみにしていた作品です。元々が舞台という事もあります。舞台はもちろん舞台なりの素晴らしさがあるのですが、でも舞台は限られた人しか見られないですからね。こうやって映画になるのは嬉しい事です。なによりも元になっているローレイン・ハンスベリーの戯曲が素晴らしいので、それをどのように新しい演者が演じるのか楽しみでした。ママ役のフィリシア・ラシャドがトニー賞に受賞しているのも期待させた要因。
オリジナルの「A Raisin in the Sun / レーズン・イン・ザ・サン (1961)」があります。シドニー・ポワチエとルビー・ディの代表作でもあります。元の舞台とほぼ同じオリジナルキャストでの映画化でした。舞台に似た映画の作り方で、多くのシーンはシカゴのアパートの一室という密室ドラマでもありました。今回は、もちろんアパートの一室がメインとなりますが、もっと色々と舞台を変えて物語は進みます。そういう演出は素晴らしかったと思います。それによりもっと話が分かり易い方向に膨らんだようにも思いました。
後、元の戯曲のいい部分も残っていたと感じました。息子がパパからお金を貰って「ホットドック!」と叫ぶシーンがあるのですが、それが残っていたのが興味深いです。当時の子供達の流行言葉だったんでしょうか?
でもやはりリメイクとなるとオリジナルと比べられてしまうのが宿命。名優であるシドニー・ポワチエと演技のプロではないショーン・コムズを比べてしまうのは、いささか可哀想な気もするが... こればかりは仕方がない。でもウォルターという大人になりきれていない自己中心型の男っていう部分では、ポワチエよりもコムズの方が説得力はあった。でもドラマが進んでウォルターが成長を見せる所ではやはりポワチエには敵わない。ルビー・ディが演じたルースは、非常に忍耐強い。けれど家を買ったと聞いた時のあのはしゃぎ方が印象的であり、人間らしさがあった。オードラ・マクドナルドの演じたルースも忍耐強いのだけど、良く泣くのが気になった。一番心配していたのが、サーナ・レイサンのベニーサ役。ベニーサはとにかく明るい役。レイサンには明るいっていうイメージ無いし... あと... ジョン・ステイモスは好きな俳優さんだけれど、この役にはミスキャストだったかな??無理やり町の人たちに押し付けられて来た人感が無かった。暗そうで弱そうなイメージとは、逆の人ですし... カッコよすぎるんですよ、この役には。
オリジナルに負けてなかったのが、やはりママ役のフィリシア・ラシャド。オリジナルのクローディア・マクニールは、その体格もあって家長としての風格があった。ラシャドは、体格の弱点を感じさせない堂々とした風格がありました。そして優しさもね。後、アサガイを演じたのが「ラストキング・オブ・スコットランド」でも好演していたデヴィッド・オイェロウォもいい。オリジナルでは、私が大好きなアイヴァン・ディクソンが演じていた。ナイジェリアから来たという異国的な色気に加えて、知的な雰囲気。2人共に何となく似ている。
ちなみにこのテレビ放映はかなりの視聴率を稼いだようで、放送したABCも喜んでいるらしいです。でも3時間は長かったし、CMが多すぎたぞ!
元が良いから、何度でも見れるのかなーとも思いました。でもリメイクとしてほぼ合格じゃないでしょうか?ちなみに監督したのがアトランタで舞台監督していたケニー・レオンです。これから舞台に映画にと活躍してくれるのでしょうか?楽しみ。
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(4.75点/5点満点中:TV放映にて鑑賞)