選挙もだけど、忘れてはならないブラックヒストリー月間。でも例年どんどん縮小されているというか、前ほど特別に何かやるという事が減りました。メディア関係は特に。
でも公共放送であるPBSが放送したのが「African American Lives 2」。
以前、有名人がDNA検査をして自分のルーツを知ったというあの有名なドキュメンタリーの続編。
さっき録画していたのを見たのですが、ものすごく内容が濃い。人の事なのに号泣しちゃいました。
今回は、モーガン・フリーマンやクリス・ロックにドン・チードル、ティナ・ターナー、トム・ジョイナー(ラジオパーソナリティ)、リンダ・ジョンソン(雑誌エボニー創設者の娘)やオリンピックの金メダリストのジャッキー・ジョイナー・カーシー、ハーバード大学で聖職にある人、後は今回は一般の人を含めた人々の彼らのルーツを解き明かす。
まだ後半があるようなので、そちらはまだ見てないのですが、前半だけでも十分に見ごたえがある内容。
クリス・ロックの母方の高祖父(所謂曾曾おじいさん)は、ノースカロライナで初の黒人軍隊の志願兵士の一人として、南北戦争で戦った人という事が分かった。さらには、その高祖父は、奴隷解放宣言が出された後にノースカロライナで黒人で始めて公的な政治家として選挙で選ばれた20人の中にも名前を連ねていた。その事実を知ったクリス・ロックがカメラの前なのに号泣。「何でか分からないんだけど、小さい頃から俺は大統領になりたかったんだよね」と泣きながら話す(だから「Head Of State」は生まれたのかもしれないです)。しかし、ここだけでこの話は終わらない。彼が政治家活動をしていたのは10年間。その時にノースカロライナが劇的に変化し、また差別的な政治が蔓延り、政治家としての道を閉ざされた。でも、ここでもこの話は終わりません。この高祖父は、農家としてまた一から始めます。たった10エーカーで始めた農家を64エーカーまで広げる事に成功。この成功は、黒人としてはもちろんの事、白人でも当時は珍しい成功だそうだ。クリス・ロックはなんとも言えない顔で「こういう事を知っていたら、俺はコメディアンじゃなくて別の事にチャンレンジしていたかも」と答えていた。
さらにまだまだ...
ドン・チードルのルーツも奴隷から始まるのだけど、他の奴隷とはまた違う歴史。彼の祖先は、ネイティブ・アメリカンであるチカソー族の奴隷だった。アメリカにいる黒人の中でも、ネイティブアメリカンに奴隷にされていた人々は少ないそうだ。ネイティブは独自の政策を進めていた為に、奴隷解放宣言が出された時にも、奴隷が開放される事がなかったそうだ。よって、ドン・チードルの祖先は、それから30年間も奴隷として扱われていた。しかし、解放後に夢の40エーカー(スパイク・リーの制作会社の名前としても有名ですね)を手に入れて、黒人だけの町で生活をしたとの事だ。映像には「Cheadle Street」が映ったので、ひょっとしたら彼の祖先にまつわる通りなのかもしれない。
そして、モーガン・フリーマンの祖先に白人男性が居る事が分かった。奴隷時代には横行していたレイプによってフリーマンの祖先が出来たのかという事を調べると、実はそうではなかったという結論になった。司会者が丁寧に調べていくと、その白人男性はどうにか自分の子供たちを世話しようとしていたのが見えるし、今でもあるその2人のお墓は隣同士に並んでいる。それは黒人と白人のお墓も別だった事を考えると、とっても珍しい事。2人は愛し合っていたのが伺える。
ティナ・ターナーに至っては、自分が通っていた学校が自分の祖先が資産提供をして出来た学校だという事を知った。トム・ジョイナーも同じく黒人のための学校を作った人が祖先。でも、トム・ジョイナーの場合は曾曾叔父が白人を殺した罪で電気椅子で死んだ事も学ぶ。これもまた司会者が詳しく調べていくと、どうも冤罪で殺された事が分かる。トム・ジョイナーの家は当時は裕福だったので、妬まれ仕組まれたらしい。それによって家族離散となり、自分のヘリテージを知ることが無かったらしい。
また白人として「Passing(通した)」したニューヨークタイムスの記者として活躍したアナトール・ブロイヤードについても追う。
これらを調べてまとめた司会者がヘンリー・ルイス・ゲイツ・ジュニアという学者。後半が楽しみです。というか、前作も早速手に入れる事にしました。
10年だけの自由を手に入れた祖先を思って言ったクリス・ロックの一言が印象的
「True freedom is forever(真の自由は永遠)」