この映画がロサンジェルスのイングルウッドが舞台とは思えない。それ位に他の映画とは全く趣が違います。いや、そう言ったら語弊があるかもしれない。逆にイングルウッドらしい、イングルウッドの素顔が見れる... そんな感じかな?あの独特の坂道は、ロサンジェルス南部ならでは。坂の上からのショットは、海が見える。坂道は「Killer Of Sheep」でも重要な役割を果たしている、チャールズ・バーネット映画の重要なアイテム。
このDVDは、2パターン入ってます。80年代当時に映画祭に出品したときは時間が無くて、急いで編集をした為に賛否両論でした。今回はオリジナルバージョン見て、編集バージョン見てみました。編集バージョンは確かに削られた所が多かったですが、私は逆にオリジナルバージョンの方が好きかな?編集バージョンでは、冒頭の洗礼のシーン、お母さんとお父さんがいちゃついているシーンがカットされたり、女の子が靴を投げるシーンもカット。確かにカットしてもいいシーンがカットされていたけど、その3つのシーンは、私的にはお気に入り。80年代は出来の良いブラックムービーもあったのに、認められなかった時代だったと思う。まだ見る方にそれだけの力量が無かったのかもしれない。いや、この映画の場合は、90年代の多くのギャング映画等を見た結果、この映画に惹かれたのかもしれない。でもこの映画が80年代に人気になっていたら、90年代のあのような映画が作られていたかは分からないとも思う。
今回のこの映画は、この舞台になるクリーニング店に集まる人物像も面白い。ピアースを誘惑しようと遊びに来る10代前半の女の子。この子は「Killer Of Sheep」では、EW&Fの「Reasons」を鼻歌していた女の子。一瞬「コスビー・ショー」の次女かと思った。彼女は、監督の子供っていうのと姪という2つのソースがあるので、どっちだか分からないけれど、監督とは血縁関係にはあるらしい。多分姪じゃないかな?と思う。監督の奥さんは、この映画で兄が結婚するフィアンセを演じていて、この映画で出会って結婚したそうだから。
後は、ズボンを直してくれと来るオジサン。そして、それに対応するピアースのママ。この2人の関係は、日本の下町ドラマを見ているよう。お母さんが強盗に対応するシーンも素晴らしい。そこだけは、リアリズムからはかけ離れているけれど。
お母さんも素敵なんだけど、お父さんも素敵。いっつもふざけてる。このお父さんが非常に面白い。肩肘張ったアート作品と思われたかもしれないが、かなり面白いシーンも満載。2回同じのを見た事になりますが、全然飽きなかったです。
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(5点満点:DVDにて鑑賞)