見てきましたよ。
楽しみだったんですよ。でも、ちょっとだけ不安もあったんですよね。題材になった人やテーマが気になっておりました。
見に行く前日に丁度BETの「American Gangster」という、ギャングを1人つづ紹介するドキュメンタリーがあり、その日はこの映画でデンゼル・ワシントンが演じたフランク・ルーカスでした。見ていたんですが、余計に嫌〜な予感したんですよね。本人がテレビに出て喋ってる。私が見たこの番組では、ヘロインを売っていた人たちに謝っていたけれど、夫は他の番組の特集で彼を見ていて全然反省してなかったと言ってました。ま、この辺は映画のラストと関わりがあります。
ラストがねー、弱い。主人公の居ない間に、時代が既にまた全然変わっていた。主人公の居場所みたいのが無さそうな雰囲気は出ていた。なぜだろう??パブリック・エナミーの曲を聴くだけで、90年代初頭が甦る。でもねー...序盤とかの勢いとか凄かったから、ラストが非常〜〜に弱い。珍しく夫と2人で見に行ったんですが、夫もラストがねーと残念がっていた。まーね、物語は在り来たりじゃない事は確かなんですが、ラストの作り方は一番在り来たり。割りと作りは在り来たりだったかな?と。っていうかさ、ラストの内容は、せめて映画の中では正義が勝って秩序があって欲しかったんですよ。それは逆にアメリカらしいなーとも思うし、ありのままの姿という気もしたのですが、それでいいのか?とも思うんですわ。んで、どうするの?って思いました。これを見た若者達が間違った考えを持たない事を切に願うよ。フランクが出来たんだから、俺も..とかマジで思わないで欲しいよ。
もう、デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウの両人が凄すぎる。デンゼル演じたフランク・ルーカスは、冷酷で残虐ながらも、行動力と洞察力を持っていたビジネスマン。派手は服で目立つなとかね、凄いよ。だからこそ長い事警察の目を欺いたんだから。で、好きな女を見たときにだけ見せた笑顔ね。もう最高の演技よ。ラッセル・クロウも本当〜〜に素晴らしい。何か一秒の狂いもない感じ。超人間的な刑事。正義と人情に溢れてる。正義過ぎちゃって笑っちゃう位。でもさ、2人が素晴らし過ぎちゃって、他の人が全然台詞無しって感じでした。結構割りとスクリーンに出ていたキウェテル・イジョフォーだって、台詞10個あったかな?って感じです。T.I.なんて5個もないだろうし、コモンは2つ位だったかも??滅茶苦茶豪華なキャスティングなのに勿体ないというか... その中で一番目立っていたのが、RZAかな?これからはサントラだけじゃくって、俳優としての映画の仕事が増えるかも??70年代の雰囲気がばっちりでした。髪型がちょくちょく変わるのも楽しみでした。でも、ウータンのタトゥーだけは消しておいて欲しかったです。ジョー・モートンの髪型が面白くて、ジョー・モートンと一瞬気がつきませんでしたわ。ルビー・ディが貫禄ありましたね。やっぱり本物は出番が少しでも全然迫力が違います。本物の違いを見せ付けられました。
フランク・ルーカスとリッチー・ロバーツの本人が2人共に映画の撮影に協力したそう。それだけにフランク・ルーカスに気を使いすぎている感じがとってもしてしまいましたね。逆に撮影がやり辛かったのかも??問題が擦り替えられた感じがあった。逆にフランク・ルーカスと対立する位の勢いで作って欲しかったかな??
フランク・ルーカスは今まで描かれた映画の主人公とは全く違う。悪から更正したアンチヒーローでもない。マルコムXみたいな人々にプライドや希望を与えた活動家でもない。人々には何にも与えてないのだから。与えたとしたら、ヘロインという麻薬。前に見た「スラム・ジャスティス」のカール・アップチャーチや「The Education of Sonny Carson」のソニー・カーソンのように刑務所で更正もしていない。クリップスのトゥッキー・ウィリアムスだって、最後は反省して何かを変えようとしていたでしょう?人間としていいの?と思うと当時に、映画にしていいの?とも思うんです。間違いは誰にもであるでしょう、間違いじゃ済まない事もあるでしょう。でも間違いの後に、彼等はどうしたか?ですよね。だからラストのイメージが弱い。
映画では、ボスのバンピー・ジョンソンを凄く慕っていて、毎週お墓にお花を置いていると言っておりましたが... 実際はバンピー・ジョンソンの妻に物凄く嫌われています。嘘つき呼ばわりされてます。そういう男なんですよ、フランク・ルーカスって男は。だからかな?魂にガツンと来る何かがありませんでしたね。
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(4.5点/5点満点中:劇場にて鑑賞)