Cast >> Samuel L. Jackson (Lazarus), Christina Ricci (Rae), John Cothran Jr. (R.L), Justin Timberlake (Ronnie), S. Epatha Merkerson (Angela) ....
Director >> Craig Brewer
Writer >> Craig Brewer
Producer >> John Singleton, Stephanie Allain, Craig Brewer
総合ポイント >> 5/5点満点
Contents >> 5 Performance >> 5 Direct >> 5 Music >> 5
Ain't But One Kind Of Blues
ラザラス(サミュエル・L・ジャクソン)は、テネシーの小さな町のブルースミュージシャンだった。妻が愛想を尽かし、自分の兄弟と浮気し2人で町を去った。そんな日の次の日の朝、自宅近くで若い白人女性レイ(クリスティーナ・リッチ)が、下着姿で道端で意識を失っていた。ラザラスはトラブルを避ける為に家に連れて帰って手当てをするが...
この映画の1つのテーマでもあるブルース...取り分けこの舞台になったデルタブルースが好きなせいもあるかもしれない。冒頭のデルタ・ブルースの草分け的存在のサン・ハウスがモノクロで登場するシーンで釘付けになる。そのデルタ・ブルースは、取り分け「悪魔の音楽」としてのレッテルを貼られている。サン・ハウスに付いた若きロバート・ジョンソンの死は、クロスロードで悪魔に魂を売った代わりにギターの才能を手に入れて若くして死んだという伝説がある。バイブル地帯とも言われる、教会に熱心に通っている人達が多い地区で生まれたブルース。悪魔と言われ、教会とは対照的だった事を頭に入れて見ると、かなり深いメッセージがこの映画には含まれているのが分かる。サミュエル・L・ジャクソン演じたラザラスは生まれながらのブルースギターリスト。若い頃も今でもモテる姿は、小さな町で活躍するデルタ・ブルースシンガーそのものだ。所が、彼は妻を愛し続ける。しかも、知らない白人の女性を介護する姿は聖人そのもの。それでいて、教会を避けている。いや怖がっている。なのに親友は牧師でラザラスを上手く包み込む。聖人であり教会に興味を持ちながらも、ブルースシンガーとして拒絶し、親友の牧師にその役割りを預けている。牧師は全て理解している。
更には、クリスティーナ・リッチの役が物語りを一層にドラマチックにする。幼児虐待の被害者であり、それのせいでセックス中毒。唯一愛する恋人は、戦場行きになり... 何の接点もない2人が偶然に出会ってしまって、ドラマは複雑のようで単純に絡み合っていく。そうした事で、映画に色々なメッセージが含まれていく。それでいて、台詞の爽快さやブルースの楽しさを改めて感じる娯楽的部分も十分に含んでいる。そしてクレイグ・ブリューワーの映像は説明も要らない位に、ブルースそのものの映像。クロスロードに悪魔が潜んでいるような南部の独特の映像がある。
サン・ハウスが歌ったように、ブルースも1つだけじゃなければ、人も1つだけじゃなく様々な人によって色々なドラマを生み助け合う。形じゃなくって、心と心の結びつき。様々なドラマの中に1つの答えを見出せる素晴らしい作品。
(3/18/07:劇場にて観賞)