Catch a Fire / 輝く夜明けに向かって (2006)
Cast >> Derek Luke (Patrick Chamusso), Tim Robbins (Nic Vos), Bonnie Henna (Precious Chamusso), Mncedisi Shabangu (Zuko September), Tumisho Masha (Obadi), Sithembiso Khumalo (Sixpence), Terry Pheto (Miriam) ...
Director >> Phillip Noyce
Writer >> Shawn Slovo
Producer >> Tim Bevan, Eric Fellner, Sydney Pollack ....
総合ポイント >> 4.25/5点満点
Contents >> 5 Performance >> 4 Direct >> 4 Music >> 4
テロリストの作り方
ジンバブエで生まれたパトリック・チャムーソー(デレク・ルーク)は、両親が労働移民として南アフリカにやってきて、いつも「よそ者」と感じながら生活してきた。結婚し子供をもうけ、南アフリカ唯一の石油精製所で働いていた。アパルトヘイトの南アフリカではテロが多発しており、パトリックが働く石油精製所も標的になっていた。あるとき、その精製所でテロによる爆発事件がおきた時、たまたまその日に任務だったのにも関わらず休んでいたパトリックが、テロ捜査のスペシャリストのニック・ヴォス(ティム・ロビンス)によって逮捕され....
数年前まで日本やアメリカで生活していて「テロ」という恐怖を全く感じていなかった。もちろんあの「911」以降、誰もが「テロ」という言葉に敏感になり恐怖を覚えるようになった。「テロ」という恐怖に怯えながらも、今アメリカがイラクで行っている事は正しいのだろうか?という疑問も常にある。時代も背景も違い、しかも宗教やお金といった物が絡んでいるので、全てが当てはまらないかもしれないが、この映画は今のアメリカとイラクやアラブ周辺に当てはめられるのかもしれない。テロリストはこのようにして作られていくのだ...という見本。無実なのにも関わらず、人道的でない扱いを受け、家族までもがボロボロにされる。パトリックは、南アフリカでいつもよそ者と感じながらも、トラブルを極力に避けて頑張ってきた。後にテロリストとなり道を外すかもしれない。確かに彼は国家にとっては「テロリスト」だった。でも人としては「活動家」だった。今のアラブ周辺のように憎しみが、テロを生む。そして今のアメリカのように国家と人がバラバラになっている。その形式は同じだ。
ただこの主人公のラストのように、アラブ周辺の人達が思えるかと言えば疑問になる。彼らはやはり「テロリスト」であって「活動家」ではないからだ。
映画として、テロリストを生む現状と、それを何とか食い止めようする努力ゆえの暴力の両方を見る事が出来て良かったと思う。
ラストの本物のパトリック・チャムーソーの笑顔と子供達の笑顔を見ると、今の大きな問題も解決できるんじゃないかって言う力(ちから)を感じる。逆にニック・ヴォスの表情を見ると、どうしようもない国家は自ら衰退していくのを感じる。歴史からまだまだ学べる事は多いと感じた。
(2/6/07:DVDにて観賞)