Cast >> Jimmy Cliff (Ivanhoe "Ivan" Martin), Janet Barkley (Elsa), Carl Bradshaw (Jose), Ras Daniel Hartman (Pedro), Basil Keane (Preacher), Bob Charlton (Hilton), Winston Stona (Detective Ray Jones) ....
Director >> Perry Henzell
Writer >> Perry Henzell, Trevor D. Rhone
総合ポイント >> 4.75/5点満点
Contents >> 5 Performance >> 4 Direct >> 5 Music >> 5
Many Rivers to Cross
アイバン(J・クリフ)は、田舎町からおばあちゃんの死を、都会のキングストンで離れて暮らしている母に知らせに来た。アイバンは、そのままキングストンに住み、得意の歌でレゲエシンガーになり有名になる事を夢みていた。所が、幾ら才能のあるアイバンでも、レコード契約を独占しているヒルトンのせいで、たった20ドルの契約料しか貰えなかった。そんなアイバンは、ガンジャ(大麻)の取引に身を染めていく...
今まで気づきもしなかった、ジャマイカ映画の少ない事に。「陽気なラスタマンの国、ジャマイカ」と思ってきたのは、アメリカ製作による「クール・ランニング」のような映画で、ジャマイカを見てきたからだ。ジャマイカにも、この映画が製作された70年代以前から少なからず問題を抱えてきたのだ。
アメリカ黒人達の怒りが、メルヴィン・ヴァン・ピープルスの映画「スイートバック」以降に爆発し「ブラック・パワー」となったように、この映画もジャマイカンの怒りを感じ、ジャマイカンパワーを感じる。
田舎出身で、恵まれてない純な青年がレゲエシンガーを目指し挫折し、キリスト教に反し、悪の道に身を染める。途中までは、ジャマイカにおけるレゲエシンガーへの道の厳しさを描き、サクセスストーリーのようで、次第にクライム物語のアクションエンタテイメント映画になっていく。アメリカを名指しで批判していて、政治的な面もみせつつも説教くささがない。劇中に出てくるクリント・イーストウッドのマカロニウエスタンよろしく、最後が究極にカッコいい。そのラストは、ヴァン・ピープルスの「スイートバック」とは対照的だが、カッコよさは同じ。そして「スイートバック」で、アメリカ黒人の観客達が、ストレスを発散したように、この映画を見た後は、ジャマイカン達もストレスを発散したに違いない。
幾度も苦難を乗り越えたからこそ生まれた「Many Rivers to Cross」。作品にこれほどぴったりな曲はない。そして、この映画ほどレゲエの似合う映画も、他には見当たらない。
(2/7/06:DVDにて観賞)