
- 作者: 猿谷要
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2000/09
- メディア: 単行本
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大好きな猿谷要氏の回想録です。「尊敬」という言葉は在り来たりで、それを通り越して大好きなんです。日本にも「アメリカ学」そして、特に「アメリカ黒人学」を研究されている方は沢山いっしゃいますが、猿谷氏はそのパイオニアとも言える。私は越智道雄氏も好きなんですが、彼の文章がパワー溢れる「ガツン!」とくる文章だとしたら、猿谷氏の文章は優しく上品ながらも物凄いエネルギーを感じる言葉。その猿谷氏のエネルギーは、やっぱりアメリカが生んだものなんだろうなーと思いました。
今回は、そのアメリカの話、大好きな奥様の志満さんとのお話、アメリカの日系社会、南米への旅など等... とっても為になる面白い話ばかりでした。特に中国に出向いた時の「どこの国でも一般大衆が戦争を望むということは、絶対にありえないのだ」という言葉が、胸に強く刺さった。
そして多くのアメリカ人やその他の国の人々と長年に渡るお付き合いをしているのを見ると、猿谷氏の人柄も伺えるようだった。私も夫の仕事柄、引越しが多く、その分人と交わる事も多いのだけど、この猿谷氏のように長年という訳にはいかない。私の性格もあって、どうもその場限りとなってしまう。さらに、猿谷氏の長年の研究を支えた奥様の姿には、私は見習いたい部分が多い。
もう物凄く感動して、エネルギー沢山貰ったけれど、上手くコンパクトにそれをまとめる事が出来ない自分を情けなく思う。でも一つだけ言えるのは、この猿谷氏が日本でのアメリカ研究のトップであった事は、我々にとってラッキーな事だったと思わずにはいられない。猿谷氏が放電したエネルギーは、こんな私にも宿っていて、いつか放電出来る筈。